2020年度から大学入試センター試験の英語で民間試験の導入が開始されるのはご存じでしょうか?
新たに「大学入試英語成績提供システム」が導入されます。
この新制度はこれから大学入試を控えた高校生や、その親御さんにとってかなり気になるニュースだと思います。
マスコミの報道でも取り上げられていましたが詳細が分かりにくいため、新制度の大学入試英語成績提供システムについてこの記事で分かりやすく解説していきたいと思います。
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高校、英語学習指導要領が大幅改定
今回の大学入試センター試験の英語試験の制度改革は前提として、2022年から高等学校学習指導要領の英語教育が大幅に改定されることにあります。
現在までの読み書き中心の学習形態から、「読む」「聞く」「書く」「話す(やり取り)」「話す(発表)」の4技能5領域を総合的に充実させることを目標としています。
読む、聞く、書くの3つのスキルは今までの試験でも求められていましたが、それに加えて話す力やコミュニケーションスキルが求められるということですね。
つまりは、現場で使える英語を身につさせるということでしょう。
実際に新しい指導方針が成功するか否かは現時点では不明ですが、少なくとも今までの英語教育方法ですと、私たち大人は英語を話せるようにはなっていないのが現実です。
英語を母国語としない諸外国の人たちよりも、私たち日本人は特に英語が苦手なように感じます。これからのグローバル社会を生き抜く為には、確かに日本はこのままではいけないと思います。
このように2022年から大幅に学習要領が改定されることから、大学入試制度についても、4技能のスキルを判定する試験制度を導入するに至ったようです。
確かに今までの大学入試試験ですと、読む、書く、聞くの3技能しか判定できていないですよね・・・。
英語成績提供システムの概要
英語成績提供システムの内容を分かりやすくまとめると以下のようになっています。
・受験生一人に1つ共通IDを発行し、英語の成績を一元管理する ・ID発行の申し込みは高校生は学校経由、その他の人は個人で直接大学入試センターへ申し込む ・高校3年生(受験年度)の4月から12月までの間に受験した結果をMAX2回登録が可能 ・大学入試センターで英語の成績を管理し書く大学へ成績提供を行う ・大学入試での導入開始は、2021年度の入学者選抜からの運用となる |
ちなみに2023年度までは民間の英語資格・検定試験と大学入学共通テストの「英語」が併用されるそうです。
英語成績提供システム、こんな時はどうなるの?
新しい新システムであり、不安に思う方も多いと思います。
よくありそうな疑問をQ&A方式で掲載してみたいと思います。
Q:異なる資格・検定試験を1回ずつ受験してもよいのか? A:可能。もし1回目の検定で自分に合わないと思った場合は別の検定にチャレンジすることが可能。 |
Q:試験を最大2回受験できるとのことだが、成績の良い方を大学入試英語成績提供システムに登録できるのか? A:受験生が資格・検定試験の受験後に、登録する成績を選ぶことはできない。2回とも登録される。 |
Q:高校3年より前に受けた試験データではだめなのか? A:以下に当てはまる場合は、例外措置として、高校2年生のときに受験した資格・検定試験の成績を、大学入試英語成績提供システムに登録が可能。 ①経済的に困難な事情を有する ②離島・へき地に居住又は通学している ③高校3年生のときに病気やけがにより90日以上入院した場合 |
Q:検定料について、経済的に困難な場合はどうしたらよいか? A:救済措置あり。対象者には減免措置がなされる。 具体的な減免措置者の範囲は以下の①~③のいずれかに該当する者 ①住民税所得税割非課税世帯の者 ②生活保護(生業扶助)世帯の者 ③文部科学省「高校生等奨学給付金」受給者 |
英語成績提供システムに参加する大学はどれぐらい?
それでは実際にこの新システムを試験に導入する大学はどれぐらいなのでしょうか?
受験生にとっては自分の志望校が導入するかどうかかなり気になるところですよね。
2020年の大学入試に英語成績提供システムを活用する大学は、日本の全大学の約半数にあたる561校です。
4年制大学に絞って数値を見てみると国立大学にいたっては、93.3%の導入率となっています。
全82校中77校で導入される見込みです。かなり高い導入率ですね。
また公立大学で78%、4年制の私立大学で約57%となっています。
ちなみに日本の最高峰の東大や京大、私立では早稲田、上智大学なども参加を表明しています。このことから、4年制大学を受験する場合は英語成績システムの活用は必須であることがわかります。
なお、2019年9月30日時点の参加表明大学は下記のリンクで確認ができますので、気になる方はチェックしてみてください。
英語成績提供システムで利用できる検定試験とは?
ここでは、実際に新システムに参画する検定機関をご紹介します。
①ケンブリッジ英語検定
主催
ケンブリッジ大学英語検定機構
ケンブリッジ英語検定は英国のケンブリッジ大学が監修して作られました。歴史は古く100以上も前から実施されています。
国際的にも有名で世界中の大学や政府機関、企業、ビザの申請等の際の英語のレベルチェックに採用されています。
2009年以降は日本の中学、高校の教育に合わせた試験体制が出来上がっています。つまりは10年ほど日本国内の中高生も受験している実績があります。
検定のタイプがかなり細かく分かれているので選択に迷うかもしれません。
検定料:9,000円~23,500円
②TOEFL iBTテスト
主催
Educational Testing Service
1964年開発された、英語を母語としない人々を対象としたの英語能力測定試験です。
これまでに延べ3,500万人以上が受験し、世界で最も多くの受験者に利用されています。
知識を問うというよりは、どれだけ実践で使えるかに焦点を当てている試験です。オンラインで模試も実施されています。
検定料:235ドル
③IELTS アカデミック・モジュール
主催
IDP:IELTS Australia
IELTSはイギリス圏での就職でかなり重要視されている試験です。
イギリスを含むヨーロッパへの留学でも必要とされていますが近年では米国での需要も高まりつつあります。
試験形態はリスニング、リーティング、ライティング、スピーキングから構成されており、試験時間は全180分です。
受験料:25,380円
⑤GTEC
主催
株式会社ベネッセコーポレーション
GTECは検定のタイプが4つに分かれています。Advanced,Basic,Core、CBTです。
GTECは、教育教材で有名なベネッセ監修で安心感があるのと、受験料が安めというメリットがあります。
受験料:税込6,700円~9,720円
⑥TEAP及びTEAP CBT
主催
公益財団法人日本英語検定協会
TEAPは大学受験向けに開発された英語検定試験です。英検協会と上智大学で共同開発されました。
TEAPとTEAP CBTの違いについてですが、CBTは特に思考力、判断力、表現力に重点を置き英語力を試す試験です。
画像や映像と音声を同時に問題中で提示することで、よりリアルな状況での英語力の判定ができる試験です。
ただし、今のところCBTを採用している大学は15校ほどでして、採用数としては圧倒的にTEAPの方が多いです。
検定料:15,000円
⑦実用英語技能検定
主催
公益財団法人日本英語検定協会
言わずと知れた実用英語検定(英検)です。
英検の中でも大学入試英語成績提供システムで活用される試験は、CBT試験とS-CBT試験の2つです。
CBT試験はすべてパソコン上で完結する形態です。
ライティングはキーボード入力、スピーキングは吹き込み式です。
一方S-CBT試験は問題はパソコン上で見ますが、選択問題はマークシート方式に記入し、ライティングは手書き、スピーキングはCBT試験同様吹き込み式です。
ライティングのキーボード入力は慣れが必要ですね。
日本語ならまだしも、英文をキーボードで打つのは書くのと違って以外とスペルがわからなくなってしまったりしますので。
いずれにしても英検は私たちが一番慣れ親しんでいる英語関連の検定ですので、本システムでの受験者数も一番多くなることが予想されます。
もし大学入試センターの英語の民間検定についてどれを受験すべきか迷う場合は、英検を受けるのが無難でしょう。
まとめ
いかがでしてでしょうか?
2020年度から大学入試センター試験の英語民間試験を導入する「大学入試英語成績提供システム」に関してご紹介してきました。
気を付けなければならないのは、民間試験を選んで受けるということは問題が一律ではありません。
そして検定の種類もたくさんあり、またその中でいくつかのタイプに分けれています。
一見すると素人ではどれを選んでよいか全くわかりません。しかもそれぞれの検定によって目的や問題の特徴が異なっています。
したがって、過去問をよく見てそれぞれの検定試験の問題の特徴を理解することが重要です。その中で教師や塾の講師に相談し自分にあったものを選ぶことが必須のように思います。
また、新たにスピーキングも導入されることから、実際の英会話もスムーズに行えるように準備することが必要です。
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