直訳したまま答えたら
高校生の頃、アメリカ西海岸にホームステイする機会がありました。
英語が何より大好きで、24時間英語に囲まれる生活は楽しくもあり、また大変でもあり。
頭で覚えた英文と、言葉で発せらる英文の違いに右往左往しながら慣れと度胸で意思疎通ができるようになり、ちょっとした自信につながり始めた頃、それが起こりました。
滞在先には3歳になる男の子がいました。
とても私に懐いて、つたない母国語(もちろん英語)で、たくさん話しかけてくれていたとき。
「You know something?」と、ひとこと。
文末のイントネーションが上がる音で発せられた聞きなれないこの言葉。
「何を言ってるんだろう・・。上がる文末は疑問文の特徴で・・。
ならば、直訳で「何か知ってる?!」
頭をかけめぐる疑問符。何を知ってたかな。秘密を知ってる? 何かの呪文?いろいろ考えたけれど、どうやっても見つからない。
それまでの会話にもその言葉に繋がる話題はなく・・やむなく。
「I don't know.」と、返答。
私の返答を聞くやいなや、3歳児の彼は何も答えず、ただ悲しそうな表情を浮かべて自室へと戻っていってしまいました。
まったく意味はわからないけれど、「何か」をやらかしてしまったという罪悪感・・。
幼児語としての使い方
彼の悲しい表情が気になって、翌朝いちばんに彼のお母さんにたずねました。
私)昨日、ジェミー(3歳児)にね、「You know something?」って、言われたの。
それで、「No, I don't know」って返事をしたら、ジェミーったら、とても悲しい顔をして自室に戻ってしまったの。私、何か傷つけちゃったかな・・。
母)あらまぁ!そういうことだったのね。
「You know something?」とか「You know what?」とかにはね、
「あのね」って、意味があるのよ。小さい子どもがよく使うの。
だから、そう聞かれたら「なぁに?」にあたる、「Yes」または「What?」って、答えてあげてね。
そうです。子どもが何気に言った
You know something?
あのね
たぶんこの後には、何かの話が続いていたはずの言葉に対して
I don't know
知らないよ
と、会話を断ち切る返答をしていたのです。
彼の悲しい表情の意味がわかりました。
大人が使う「You know」
「You know something?」は、幼児語として使われることが多いようですが英語のドラマや映画などを見ていると、よく「You know」という言葉を耳にします。
使い方はさまざまで、文頭に使われていたり、文末であったり。
文頭で使われる場合は「あのね」「ところで」「ねぇ」など、話をつなぐ意味で使われることが多いようです。
You know, I hove to tell you important things to you.
あのね。あなたに大切なことを話さないといけないの
学校で習う「by the way」と同じような意味合いですが、より流れるようなフレーズになります。
文末の場合は、「~だよね」「~じゃん」
He is nice guy, you know?
彼って素敵なひとだよね
相手に同意を求めるような意味合いになります。
文中で使われる場合では、「え~っと・・」「あの~」など。
A) How abaut him?
彼ってどう?
B) Nice guy! He is tall,and,you know,he is tall..
最高よ! 彼って背が高くて、え~っと・・背が高くて・・
話す内容が思いつかないとき、文と分をつなぐ接続的な意味合いに。
いずれも同じ「You know」ですが、実にさまざまなシチュエーションで使われていることが判ります。なるほど。会話の中に頻繁に登場するわけだ。
ただし、本来の意味である「知ってる?」という意味合いももちろんあるので
「You know」の部分を強調して使うと念押しの嫌味な表現になってしまいますので注意が必要です。
You know what?
3歳児ジェミーが言った「You know something?」と、同じ言い回しで「You know what?]というのがあります。
こちらは大人もよく使う表現のようで、会話の中にも頻繁に登場します。
「あのね」「あのさぁ」「ねぇねぇ」など。
会話の中、少し注目してほしい時などに使用します。
大人が使う場合には、その後の返答をまたずにそのまま会話を続けていくようです。
もし、あなたがきれいなお姉さんに
「You know what?」
と、言われたら、ただ黙って彼女の目を見つめるだけで会話が成立します。
機会があったらぜひ、お試しください。
このようにいろいろな使い方がある「You know」ですが、多用は厳禁。
「あのね」「え~っと」など、本来の言葉の意味を持たない接続的な使われ方になるので、スマートな会話にならなくなります。
You know, Uh,ah you know,you know
そうじゃん。で~、え~っと、じゃん
連発するとこんな意味合いになるのかも知れませんね。
もし、どこかで小さなお子さんに
You know something?
あのね
と、聞かれたら。
やさしく目を見つめて
What ?
なぁに?
と、答えてあげてください。
そうしたら、きっと、満面の笑顔を浮かべて楽しい話を聞かせてくれると思いますよ。