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パイロットの飛行状況においての不調から来た概念が子どもへの罰に使われるように
アメリカの子どもやティーンエイジャーの口からよく聞く言葉があります。アメリカで小学校に通っていた際、週末になると家の行き来をしてよく遊んだクラスメイトの女の子と電話で話し、いつものように「明日の1時から5時まで家に来て遊べる?」と期待を込めて聞いた私には今まで返ってきたことがない答えを聞くことになったのです。
Sorry, I'm grounded for two weeks.
ごめん、二週間外出禁止なんだ。
めったに誘いを断ることがない友達から珍しい答えが即返ってきたのです。
今までなら「親に聞いてみるから待ってて」と答え、その数秒後には「うん、遊べる!」と答える友達だったので今まで耳にしたことがなかった言葉に小学生の私は首をかしげました。
「『Grounded』とはとはどういう意味?」とそのまま聞いた私に友達は硬い口調で「この前お父さんを呼ぶときにとても失礼な呼び方をしたから罰として二週間遊びに出かけたりしてはいけないことになったんだ」と教えてくれました。
日本人の両親の元で生活している自分には経験したことがなかった「grounded」の文化のことを仲の良い友達から知った私は、遊べなくて残念な気持ちももちろんあり、それと同時に、やはりアメリカの両親を持っているクラスメイトと日本人の両親を持っている自分は家の中の文化が違う、と感じました。
また、親の罰の与え方が日本人の親よりも厳しく、期間も明確だと感じました。日本にはない言葉や文化だからです。
「Grounded」とは元々飛行機を操縦するパイロットが、何らかの手違い、病気、機内の不調などの理由で飛行機を飛ばすことができなくなってしまった状況を指す言葉でした。
「Ground」とは地上のことなので地上から離れることができない、ということです。アメリカの子ども、主に小学生から高校生までの年齢の子どもは、何か悪いことをした場合、この「grounded」とは家から出ることができない状況を言い表す言葉となります。もちろん学校や教会、親の用事への付き添いなど、「遊びや娯楽とは関係のない必要なこと」のための外出は除きます。
You should never talk to your father like that. You're grounded!
お父さんにそういう喋り方はするものではありません。外出禁止です!
罰を与える方の親はこういった内容や口調で言うものです。アメリカのドラマや映画でも度々出てくるフレーズでもあるので知っておくと何かと便利です。
一般的な使い方の「grounded」はむしろ良い意味で使われている?
子どもが与えられる罰を表す場合の「grounded」は一種の俗語でありながらもアメリカの子どもの多くは経験する文化です。しかし元々正式に使われる「grounded」とは良い意味で使われる単語です。地に足が着いているという概念は日本語にもありますが、似たような意味で英語でも使われている「grounded」でもあります。
That is a well-grounded argument.
それはとても根拠ある論点だ。
こういったように、根拠がある、という風に使われる場合、「well-grounded」、直訳すると「良く地に着いた」という意味で使われる場合もあります。また、精神的に安定しているという意味もあります。
He remains grounded despite his sudden fame.
急に有名になったにも拘わらずそれに動じていないようだ。
このように、動かない「地面」のように安定しているという概念にも使われます。そしてその他、良い意味でもなく悪い意味でもない形で使われることもあります。
She is very grounded now that she has a family.
家庭を持つようになった彼女は家にいる時間が長くなった。
これは子どもが受ける罰と繋がりがあると言えます。家の中に閉じこもるといった概念が共通しています。しかし罰としてではなく、ただ単に自主的に家の中に長時間いることを意味しています。
怒られそうなときに使う「I'm grounded meat」
おまけとしてですが、親や先生、上司などに怒られそうになる際、怒られるであろう本人はよく第三者に、或いは独り言として言うフレーズがあります。
I'm grounded meat.
自分はもう挽き肉状態だ。
挽き肉とは細かい状態にされてしまった肉のことなので、そういう哀れな状態にされてしまうことを表しているわけです。本来は挽き肉である「ground meat」の「ground」はグラインダーでグラインドするという意味の「grind」の過去形です。
アメリカの親は子どもに躾けに関して日本やアジア圏の親より厳しい面が結構あると思われます。アジア圏にはない「grounded」といった概念と文化は、恐らく他の国の子どもは親に知って欲しくない文化だと感じることでしょう。